θ=6 β=4

二曲目に出来た曲。一曲目より音数は少ないように聞こえるが、スケッチの段階で32トラックを使用している。「美術館で会った人だろ」風のリズムBOXから始まり、男性の「んー」というハミングに続いて、「東方無国籍」風のイントロに繋がる。そのまま歌へと繋がると思わせておいて繋がらない。70年代風の上昇する変調がかけられたシンセサイザーのスペイシーな発信音と共に音程の移動が非常になめらかなギターが顔を出す。モズライトをボトルネック奏法で弾いたものだ。これまたスペイシーである。

高域と低域を極端にカットされた、俗にラジオヴォイスと呼ばれる処理を施したヒラサワの歌は通信機から聞こえる声のようだ。あるいは、遙かに離れた惑星から、漂流する男の歌声をモニターしている、という想像は有り。いわゆるAメロの後半にはラジオヴォイスとは対照的な、マイクに接近し、ささやくように発声された生々しいコーラスが加わる。

MANDRAKEを除く、P-MODEL、ソロ、とヒラサワ音楽史上初めて登場するボトルネック奏法のギター・ソロ。しかもTALBOではなく、モズライトだ。ボトルネック奏法というのは瓶の首を切断したような筒状の金属やガラスを指にはめ、それを弦の上を滑らせて演奏する方法のことだ。音階が無段階に変化するので、スペイシーな雰囲気がでる。ちょっと間違えるとハワイアンになる。

今確認したところ、この曲は6分を超えている。