θ=5 β=5

—踏まれた供花—

その供花が何故に供えられ、何故に踏まれたかを思い出そうとしてはならない。その記憶は「無い」からだ。そこには「供花」に至る文脈など無く、ただ悪意に満ちた壮絶な力が在るのみ。

無いものを無いと言うのにどれほどの犠牲を払うというのか。その犠牲がお前を犠牲にしている。お前が費やした時間の半分に潜む暗黒。その暗黒をして生を紡ぐ賢者と、その暗黒の破壊力をして生を紡ぐ愚者。

幕は、いつでも閉じられる。