パスの重き門-1

    θ=6 β=4

    —-2人だけのパレード—

    大規模なゲイと性転換者のパレードがあると聞きバンコクへ行って来た。亜種音TVのネタにもなるかと思ったが、パレードは期待はずれだった。片側2車線の大通りの歩道と中央分離帯には見物の人々であふれていたわけだが、私のカメラはむしろ見物客の中で一際目立つ長身のカトゥーイに向けられた。いまだ「アニキ」の面影が残る、いわば完成度の低いカトゥーイであったが、少なくともパレードの参加者や見物客の群衆とは一線を画す存在感があり、彼女を見ているほうが楽しかった。ゲイと性転換者の市民権を主張するという(いや・・あのパレードには疑問有り・・)の催しの場で、何も主張せずたたずんでいるかの長身カトゥーイのほうにむしろ何かの説得力を感じたのだった。パレードはあっという間に終わり、しかたなしに私とsato-kenはこの日のために世界中から集まったゲイがたむろす通りの、オープンカェで一休み。

    ゲイのカップルを眺めながらブツクサとパレード批判を展開する。気がつけばsato -kenはさっきから間違えて私のグラスからオレンジジュースを飲んでいる。我々は間違いなくカップルだと思われたに違いない。「やめて!!よりによってこんなところで自分のグラスを間違えるなんて!!」などと、ゲイのふりをして遊んでみる。しかし、遊んで居る場合では無かった。パートナーの居ないゲイからは容赦なくお誘いの視線が飛んでくる。あっちからも、こっちからも・・・

    だんだん居心地が悪くなって来たところに現れたのが先ほどの長身カトゥーイ。彼女は「すみません、いいですか?」と日本語で話しかけて来た。彼女は我々がカメラを向けていたのを知っていて、撮影したものを見せて欲しいという。もちろんOKだが、大量に撮影されたものの中から彼女の映像を選び出すのは即座には困難。この店も混み始め、彼女の席も無い。夕方までに彼女の映像をより分けることにし、別の場所でまた会おうと約束した。そうこうしているうちにこのゲイ通りはますます混み始め、目配せ攻撃も激しくなってきた。恐怖を感じ始めた我々は通りを脱出することにした。歩く隙間も無いほどに通りはゲイで一杯だ。さあ、恐れを捨てて。我々は胸をはって縦列になり、群がるゲイをかき分けて2人だけの行進を始める。そのパレードにこんなささやかな主張を盛り込んで。

    「みなさん、お幸せに。ですが我々二人をカップルとしてご覧にならないよう、なにとぞお願い申し上げます・・・」