θ=5 β=5
これから始まるのは新譜の歌詞のごく小さな部分に焦点を当て、拡大したものであるのだ。しかし、爪を見て人体全体を判断することができないように、この拡大図を見て歌詞の全体像を知ることはできない。爪には様々な様相があるように、断片にもそれなりの世界がある。しかし確実に言えるのは、これらの拡大図は紛れも無く全体像に含まれているものであり、これら断片世界がモザイクのように組み合わさって一つの歌詞になっているということである。歌詞とは、かくも膨大な情報を含有するのである。
なお、小見出しは曲名ではないので。曲名なんかは書いてやらないので。
第一図
–愚者の旅–
滑稽にも見えた「いけない旅」の終わりに、その男は重大な発見をする。残念ながらその発見が生かされることはない。なぜならそれは、その男の死をもって発見されたからだ。それを知るのは彼だけである。
輪をかけて残念なことは、命とひき換えに得たものが、生死の境で得たということから想像されること程に深淵なものではなかったことだ。要は、それを発見しなかった我々同様バカを見たのである。
ごきげんよう、おバカさん。正直にも程がある。