θ=5 β=5
引っ越し先は80人の細胞となり-1
完成した追悼アルバム「SWITCHED-ON LOTUS」を関係主要人物に届けるため、タイへ行った。長期間休み無く働き、やっと取れた休暇を一時も無駄なくすごそうと、慌てて旅支度を済ませて空港に向かった事が結局8時間のムダを生むはめになる。朝の8時、空港のチェックイン・カウンターに到着し、航空券のつもりでカバンから取り出したものは、使用済み航空券の控えだった。ああ、みっともない。恥ずかしい。既にチェックイン済のsato-kenは搭乗をキャンセルし、飛行機から荷物を降ろしてもらうことになった。機内に持ち込まれた大量の荷物の中からsato-kenの荷物を取り出すのに1時間以上の時間を費やした。恐らくその便の出発を遅らせてしまったかも知れない。TG647の乗客の皆さん、悪いのはみんなこの私です。
夜まで次の便は無い。その間に航空券を探しに戻ることにした。駐車場に連絡し、車を空港まで届けてもらう。届けてくれたドライバーに平謝りし、空港を後にする。「きっとTG647は墜落するんだ、だからこれは虫の知らせのようなものに違いない」などと車内ではいい加減なへりくつを展開しsato-kenを納得させようとするヒラサワ。1時間後にヒラサワ宅に到着。航空券を発見。しばし仮眠を取り再び空港へ。もう一度駐車場のオジサンに平謝りして車を引き取りに来てもらう。さて、チェックイン・カウンターで正真正銘の航空券を差し出しながらヒラサワが最初に言った言葉。
「TG647は墜落しましたか?」
カウンターのおねいさんは仰天して周囲を見回し、「とんでもない!」という表情で、慌てて否定した。ちょっと反省するヒラサワ。
教訓:悪い冗談は相手を見極めてから言うべし。
さて、カウンターのおねいさんは気を取り戻し、「恐れ入ります、パスポートをいただけますか?」とヒラサワに言う。ヒラサワ平然とカバンの中をまさぐるが、次第に弱腰になる。sato-kenは鋭いまなざしをヒラサワに向け、「ウソでしょ?師匠。ウソでしょ?ね?ね?」と言う。こういう時こそ気をしっかり持たなくてはいけない。ヒラサワは表情一つ変えず平然と言う。
「ホント、絶対ホント」
パスポートは車の中だ。ヒラサワが毅然とした態度で口を開こうとした瞬間、sato-kenがそれを遮り、先回りして言った。
「いいえ!!落ちません!次の便も墜落しません!!」
駐車場に平謝りして空港までパスポートを届けてもらい、ようやくチェックイン。ざまあみろ(なにが?)
(続く)